病棟 | 東病棟10F | 外来 | 外来診療棟C 5F |
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外来受付 | Tel : 022-717-8408 | 独自webサイト | - |
対象疾患 | 先天的障害がある方(精神遅滞?自閉症?染色体異常など)/中途障害がある方(病気や事故の後遺症など)/食べる機能の障害 |
当科で実施している保険診療
当治療部では、知的?精神的?身体的な障害のため一般的な歯科治療が難しい方を対象とした保険診療を行っています。治療時に口を開けていることが難しい、特別のこだわりがある、あるいは言葉の理解が難しいなど、それぞれの方が有する歯科治療上の困難さや特徴を理解したうえで、安全で確実な歯科医療を提供できるように、それぞれの方にふさわしい方法で対応いたします。
対象疾患と診療内容
先天的障害がある方(精神遅滞?自閉スペクトラム症?染色体異常など)へのアプローチ
口の周囲に触られることに敏感な場合が多く、歯磨きの受け入れが難しいことが多いようです。歯質が弱かったり、歯の数や形が異なったりすることもよくみられます。障害によっては、望ましくない習癖が定着してしまったり、口の機能が未発達のままになったりすることがあります。私たちは乳幼児期から定期的に専門的な口腔ケアや機能発達を促す訓練を受けることを勧めています。そうすることで、歯科医とのよい関係を築き、大人になっても口の病気をかなり予防でき、生涯にわたって健康な口をつくっていけると考えています。?
中途障害がある方(病気や事故の後遺症など)へのアプローチ
それぞれの患者さんの口の健康と機能を可能な限り維持することを目的としております。今まではとてもきれいなお口の中であった方が、障害を負ったために、自分で歯を磨くことができなくなったり、口の機能が低下したりして重度のむし歯や歯周病になってしまうような事態は避けなければなりません。食べる機能の低下にもできるだけ早い時期からの対応が必要です。その実践には先天障害のある方と同様に、患者さんを日常的にケアする方の協力が必要不可欠になってきます。患者さんに対する適切な対応や治療方針について介助者と医療スタッフとが一緒に模索することで患者さんにとってよりよい歯科医療を目指すことが出来ると考えております。?
診療の特色
障がい者歯科では口の健康を長期にわたって維持していくことを、その障害のある方の日常の生活支援として捉え、クオリティ?オブ?ライフ:QOL(生活の質)の向上を図ることに努めております。従って、患者さんにかかわる様々な職種の方々との連携が大切と考えています。実際の診療は患者さんの有する口の病気と、歯科治療への受け入れ状況、さらに患者さんの社会的環境をよく見極めて、治療を進めてまいります。
急性症状がなく、通院することが比較的容易な状況であれば、無理強いはしないように歯科に慣れるためのトレーニングをしていきます。それぞれの患者さんで到達するところは異なるにせよ、患者さんにとって必要な歯科治療を受容できるのかどうかを見極めていきます。
急性症状があり実際に痛みがある患者さんや、トレーニングの結果、必要な歯科治療の受け入れが難しい患者さんの場合はやむを得ず危険を避けるため抑制下で行う場合や、静脈内鎮静法あるいは全身麻酔下で治療を行う場合があります。
それぞれの治療スタイルは以下の通りです。
通常の方法での歯科治療
当治療部では、患者さんの個性に合わせて治療スタイルをアレンジしています。たとえば、強いこだわりのある自閉症の方に対しては、いつも同じ治療の場所で、同じ歯科医が担当するようにします。また、いろいろな疾患によって歯科治療が体にとても負担になるような方(チアノーゼ性心疾患や小顎症)に対しては、モニターで呼吸など全身状態を確認しながら、必要に応じ酸素吸入などを行って治療を進めます。それぞれの患者さんにとっていちばんストレスが少ない方法を提供できるようにしております。
歯科への受容トレーニング
歯科治療への受け入れが難しい場合に、急いで治療しなくてもいいと判断された時にまず選択されます。患者さんの受け入れ状況と必要な歯科治療の両者によりスタートとゴールが決まりますが、必ずそれぞれの患者さんで違いますので患者さんごとにプランを立案します。さまざまな行動変容法や絵カードを用いるなどして受け入れを促していきます。
図3 絵カードをトレーニングで用いる場合があります
図4 絵カードを用いて歯科に慣れる練習をしています
物理的抑制下での歯科治療
急いで治療しなければいけない歯があり、でも治療に対しての受け入れが得られない場合や著しい不随意運動などがある場合で、治療時に危険が伴い、抑制することでその危険が避けられる場合に選択いたします。この方法は人手やアミで患者さんを力で抑えて強引に歯科治療を行うことです。抑制といっても完全には無理ですし、さらに非常に限定された状況で行うことになるので十分な歯科治療を提供できるとは限りません。状況が許す限り、トレーニングや鎮静法、全身麻酔法での対応を考えこの方法はあくまでも緊急の方法で第一選択にはなりえません。
鎮静法下での歯科治療
歯科治療に協力が得られず、危険や困難を伴う場合、あるいは病気や障害によって治療を受けること自体が危険あるいは困難な場合に選択します。主に静脈内鎮静法という方法で行っております。静脈内鎮静法は精神安定薬を経静脈的に適用することで、歯科治療ができる状態まで鎮静を図るものです。静脈内鎮静法は歯科麻酔科と提携して、安全にそしてなるべく効率的に、苦痛やストレスにならないように、歯科治療を行っております。しかしながら、外来では限界があることも事実で、使う薬に対する感受性は個人差があり、許容範囲内での用量では効果が発現しない方もいます。
図5 静脈内鎮静法下歯科治療の様子です
全身麻酔下での歯科治療
ほかの方法では歯科治療に協力が得られず、危険や困難を伴う場合、あるいは病気や障害によって治療を受けること自体が危険あるいは困難な場合などに選択します。現状では入院していただき、手術室で全身麻酔の下、集中的に歯科治療を行っております。全身麻酔下歯科治療の場合、通常の外来での治療とは異なり、入院に加えて手術前後の諸検査が必要となります。治療内容や治療しなければならない歯の数によっては数回の全身麻酔下歯科治療が必要な場合もあります。外来で治療するよりははるかに効率がよくそして安全な歯科治療を提供できるものです。
図6 全身麻酔のもと歯科治療を行っております
年間症例数
(平成29年度)
再来患者数? | ?4,223名 |
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?初診患者数 | ?115名 |
?全身麻酔下歯科治療 | ?69症例 |
?静脈内鎮静下歯科治療 | ?91症例 |
?発達期摂食支援 | ?のべ130名 |
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